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最高裁判所第一小法廷 昭和49年(オ)181号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由一、について。

原審の適法に確定した事実関係のもとにおいては、所論指摘の点に関する原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

同二、について。

民法四二四条所定の詐害行為の受益者又は転得者の善意、悪意は、その者の認識したところによつて決すべきであつて、その前者の善意、悪意を承継するものではないと解すべきであり、また、受益者又は転得者から転得した者が悪意であるときは、たとえその前者が善意であつても同条に基づく債権者の追及を免れることができないというべきである。これと同旨の原審の判断は正当であり、論旨は採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 藤林益三 裁判官 下田武三 裁判官 岸 盛一 裁判官 岸上康夫)

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